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ツリーハウス 角田光代

相変わらず、本が好きで、手当たり次第読んでいるのだが、
しばらく、書評なんてやっていなかったんだけれど、
やっぱり、何か、書き留めていたほうがいいような気がして
logのつもりで、記しておくことにした。
再開、初は、
角田光代 

ツリーハウス



日本人、必読の書といってもいいんじゃないだろうか。

この物語の底に流れているのは、吉本隆明の思想である。
と言い切ってしまう。
彼の思想の第一原則、最強にして最大の言葉。

 結婚して子供を産み、そして子供に背かれ
老いてくたばって死ぬ。そういう生活者を
もしも想定できるならば、そういう生活の仕方をして
生涯を終える者が一番価値のある存在なんだ。


解説は、勢古浩爾氏の文献ぼくが真実を口にすると 吉本隆明88語 (ちくま文庫)
に、詳しいので、
それを参照して欲しいのだが、とにかく
全体に、この思想が、横たわっている。
そして、言葉に溢れている。


言葉や理論だけ並べて得意になるような人じゃないでしょ。まず動く。

私たちは抗うために逃げた。生きるために逃げたんだ。

闘う事も逃げることもせず、やすやすと時代に飲み込まれんな

平和で不気味に退屈で、でもそんな時代にのみこまれるなと。

あんた、自分がやった馬鹿はね、ぜんぶ自分に跳ね返ってくるんだよ。

いやなことだの面倒だのから逃げたって、ちゃんとつかまるよ。
帳尻が合うようにできてるんだ。


私が一番好きな場面は、p377から381。
この場面は、吉本の悪人正機に通ずる。

とにかく、これを買って、ぜひ読んで欲しい。
重要な一冊である。

「そこにいるのがしんどいと思ったら、逃げろ。逃げるのは悪いことじゃない。
逃げたことを自分で、わかってればそう悪いことじゃない。
闘うばっかりがえらいんじゃない。」

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by jack1641 | 2012-01-18 08:58 | 店長日記


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